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限界オタクのにわか数学屋さんが書いています。

よくわかる現代数学 代数学2「集合と写像」

特別な集合

集合を文字で記述する際、要素を小文字 a 、集合を大文字 A 、ちょっと特殊な集合をカリグラフィーフォント \mathcal{A} 、集合の集まりをスクリプト(花文字)フォント \mathscr{A} で書くことが多いです。これらは全てアルファベットの A を表しています。こうしなければならない決まりはありませんが、念頭に置いておけば参考書などは多少読みやすくなるかと思います。
またこのようなフォントの他、頻繁に用いられる特別な集合にはボールド体や白抜きで記号を与えられることがほとんどです。

{\bf N},{\mathbb N}=\{\text{自然数全体}\}

{\bf Q},{\mathbb Q}=\{\text{有理数全体}\}

{\bf R},{\mathbb R}=\{\text{実数全体}\}

{\bf C},{\mathbb C}=\{\text{複素数全体}\}

その他、ボールド体や白抜きでベクトルを表す時もあります。以降、断りがない場合はこれらの集合を用いて色々定義したり議論したりしていきます。

写像

ある二つの集合 A,B について、A のどんな要素にも B の要素を持ってきて対応させる規則が作れる時、その規則そのものを写像あるいは関数と言います。文献によっては集合が {\mathbb R},{\mathbb C} の場合に関数と呼ぶようにしているものもあります。例えば

A=\{1,2,3,4,5,6\}

B=\{1,-1\}

として、A の要素が偶数なら 1 、奇数なら -1 を返す写像 f

f:A\longrightarrow B

と定義できます。とは言ってもこのくらいシンプルな写像なら f(n)=(-1)^n と書いてしまえるんですけど。
この例から見て取れるように、二つの集合が同じだけ要素を持っている必要はないですし、何なら A のすべての要素が写像によって B の要素一つに集約されてしまっても問題はありません。あるいは見かけが同じ二つの集合を持ってきてもいいです。というか高校や大学一年生までに習う関数のほとんどが以下の形に該当します。

f:{\mathbb R}\longrightarrow {\mathbb R}

つまり、実数を一つ取ってきて関数 f に代入したら別の実数になりました。よくある話ですね。

像と逆像

ところで、A の要素 a に対してこれを関数 f:A \longrightarrow B に代入したもの f(a) を集めてきて集合を作ることができます。すなわち

f(A)=\{f(a)| \ \ a \in A\}

f による Aと言います。この時、f(A)B の部分集合になります。A=B={\mathbb R}f(x)=x^2 とすれば f({\mathbb R}) は0以上の実数全体なので {\mathbb R} の部分集合になることが簡単に分かります。
逆に、B の部分集合 B_1 について A の部分集合 A_1 を持ってきて f(A_1)=B_1 とできる時、

f^{-1}(B_1)=\{a\ \ | \ \ f(a) \in B_1\}

f による B_1逆像と言います。この時、f^{-1}(B_1)A の部分集合になります。同じようにA=B={\mathbb R}f(x)=x^2 とし、更に B_1=\{1 \le x \le 4\} とすれば f^{-1}(B_1) は二乗して1以上4以下の数字の集まりなので、具体的に f^{-1}(B_1)=\{-2 \le x \le -1,1 \le x \le 2\} となります。